令和時代の皮膚科の役割
『「若見え」「老け見え」などという「〇〇見え」という新しい日本語の流行からも他者からどう見られるかということが、日本では異様なほど大事になっていることが窺える』
(ブレイディみかこ~『文学界』2021/1月号より)
上記に引用したのは、最近注目のイギリス在住のライター・保育士の言葉です。
これは、アンチエイジングのテーマの文章中で語られているのですが、実は、今の日本の老若男女すべてに当てはまるのかもしれません。
よって、大人は勿論のこと、男子学生もその対象になってきていると思われます。
昭和・平成時代と比べても、この令和の時代に、この現象が一層加速しているような「皮膚」感覚があります。
Mドクターが診ていたB君もそんな一人だったようです。
初診時は、不登校の男子中学生でした。
学校でニキビをからかわれて、ひきこもりになっていました。
当初は、母親が無理やり連れてきているという感じでした。
とにかく外出することに抵抗があって、イヤイヤ通院しているというのが実態でした。
治療後も、母親だけとのコミュニケーションの時期が続きました。
しかし、3か月ぐらい経った頃から、見た目に変化が現れ始めました。
そして、その頃から本人が一人で来るようになりました。
一人だけで通院してくれるようになれば、大きな一歩前進です。
本人に少し自信がついてきた証拠です。
やがて、生活リズムも好循環になり、登校するようになりました。
そうなると、逆にこちらからアドバイスすることもほとんどなくなり、自然に治癒していきました。
その後、B君は礼儀正しく高校受験合格の報告もしてくれました。
その時の彼のはにかんだ笑顔が印象に残っているとMドクターはいいます。
Mドクターは、成長期にある学生を診ることが多い先生です。
「皮膚科は成果が目に見えるので、緊張感もある一方、多くのやりがいも感じる仕事です」とのことです。
「患者さんの人生の一時期を共有してお手伝いする」
数年前、そんな理念の下、大病院の勤務医からえいご皮フ科に転職されたMドクター。
頼もしい先生です。