えいご皮フ科

尋常性乾癬

どんな病気?

銀白色の粉がついた境界のはっきりした赤い皮膚が全身にみられます。大きさ、数、形は様々で、発疹がくっついて大きな病変を作ることもあります。できやすい部位は刺激を受けやすい頭部、肘・膝、臀部、下腿伸側などです。青壮年期に発症することが多く、多発しますが、通常、内臓には異常はありません。かゆみは約50%の患者さんにみられます。ひどい場合には、熱が出たり爪の変形や関節に痛みを伴うこともあります。
日本人のおよそ0.1%がかかるとされ、昔は極めてまれと考えられていましたが、現在では決してまれとはいえないです。白人では人口の2-3%といわれており頻度の高い皮膚病として知られています。

原因
乾癬になりやすい遺伝的体質があることは解っています。その体質に様々な環境因子(不規則な生活や食事、ストレス、肥満、感染症、特殊な薬剤など)が加わると発症すると言われています。ただし日本では家族内発症頻度は4~5%と欧米に比べずっと低率です。
上気道感染(かぜ、扁桃炎)にかかったり、擦ったりする機械的刺激、特殊な薬剤、仕事や家庭でのストレスなどで悪化することが知られています。逆に日光(紫外線)は乾癬に対し良い効果があります。顔は発疹があまり出ませんが、これは紫外線のためと考えられています。乾癬の場合、発疹の存在そのものにより精神的、社会的に生活の質(QOL)が障害されていることに加え、慢性であるがゆえの治療(特に外用療法)の煩わしさが存在します。
治療
乾癬は慢性で軽快と悪化を繰り返すため、きまった治療方針がなく、患者さんの病気の程度、おかれた状況に応じた治療法を選択することになります。
通常、塗り薬からスタートします。塗り薬はステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬が主に使われます。
のみ薬としては、レチノイド、シクロスポリン、メソトレキサート(これのみ日本では保険適応がありません)が主なものですが、いずれも副作用が強いためにまずは漢方薬を使用する場合もあります。

院長のメッセージ

2010年からは、これらの治療法で十分な効果が得らえない場合、抗体療法という新しい治療が使えるようになりました。ただ治療費が高額であること、大病院でないと行えないなどがハードルですが必要であれば紹介させていただいています。それ以外にも紫外線療法という選択肢もあります。うつる病気ではないのですが、うまく付き合っていく必要のある病気です。

文責:医療法人正英会 医学博士 山田詠剛

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