えいご皮フ科

酒さ

にきび、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎、化粧品などによる"かぶれ"など、さまざまな皮膚病で顔に赤い発疹がみられます。ほとんどの発疹は適切な診断や治療、原因対策でよくなりますが、なかには、顔の赤みやほてり、乾燥、腫れ、ヒリヒリした痛みが続き、治りにくいことがあります。とくに中年の女性でこのような症状がみられる場合、"酒さ"という病気かもしれません。

酒さでは、にきびのような赤いブツブツや膿をもつ発疹ができたり、皮膚が硬くなってコブのような膨らみができることがあります。また、結膜炎や角膜炎などの眼の症状がみられることもあります。酒さのほてりは、酒類、辛い食べ物、精神的ストレスなどによって誘発され、増強します。酒さのはっきりした原因は分かっていませんが、皮膚の微生物に由来する成分、紫外線など環境からの刺激が皮膚の細胞を活性化して炎症を誘発し、神経、血管の反応が加わって生じるのではないかと推測されています。副腎皮質ホルモンなどの塗り薬を塗っているうちに酒さに似た発疹ができる状態を"酒さ様皮膚炎"と呼びます。この場合、塗り薬を中止して回復を待つ必要があります。

酒さの患者さんのスキンケアについて、つぎのような注意が必要です。

  1. 皮膚のバリア機能が低下するアルカリ性の石鹸の使用は避け、E-ソープ(えいご皮フ科オリジナル商品)などの低刺激性石鹸を使って皮膚を刺激しないようにぬるま湯で洗顔する。
  2. サンスクリーンは紫外線A波を防ぐ効果があり、紫外線B波を防ぐ効果指数SPFが30以上、酸化チタンや酸化亜鉛などを使用した製品を使う。
  3. 症状を誘発するアルコール、メントール、カンフル、ユーカリ精油、ウィッチ・へーゼル、ペパーミントなどの香料を含む化粧品を避ける。
  4. 強力な洗浄剤や強くこすりおとす必要のあるファンデーション、ウオータープルーフの化粧品は避ける。
  5. にきび治療に使うピーリング剤の使用は避ける。

(出典:Dermatology 4th Edition, By Jean L. Bolognia, Julie V. Schaffer, Lorenzo Cerroni)

文責:医療法人正英会 医師 山西清文

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