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ほくろとしみの違いとは?自分で見分けられる?症状別に治療法を徹底解説

2025/06/19

ほくろとしみは見た目が似ていますが、原因や治療法は大きく異なります。

本記事では皮膚科専門医の視点で、症状別の見分け方や適切な治療法を詳しく解説。

誤ったセルフケアを防ぎ、適切な対応ができるようになります。

1. ほくろとしみの違いとは?

ほくろとしみは、どちらもメラニンという色素に関係する皮膚の変化ですが、その成り立ちや見た目、治療法に違いがあります。

見た目が似ていても、根本的な原因が異なるため、誤ってケアをすると逆効果になることもあります。

1-1. 発生する仕組みの違い

ほくろは「母斑細胞(ぼはんさいぼう)」と呼ばれる特殊な細胞が皮膚の奥、真皮(しんぴ)に集まってできる良性腫瘍です。

一方、しみは紫外線などの刺激によって表皮のメラノサイトがメラニン色素を過剰に生成し、ターンオーバーが乱れることで色素が肌に残った状態を指します。

つまり、ほくろは深部から生まれる構造的な変化しみは浅い層における色素の蓄積という大きな違いがあります。

1-1-1. ほくろは母斑細胞が真皮で増殖して形成される

ほくろは医学的には「色素性母斑」や「色素細胞母斑」と呼ばれます。

皮膚の深い部分である真皮層に存在する母斑細胞が増殖することで形成される、良性の腫瘍です。色素細胞(メラノサイト)が変化し、真皮内で集まってできるため、皮膚表面がやや盛り上がることが多く、しみに比べて立体的な印象があります。

1-1-2. しみはメラニン色素が表皮に沈着して発生する

一方、しみは表皮にメラニン色素が過剰にたまることで発生します。

メラニンは紫外線から肌を守るために作られ、通常は表皮のターンオーバーによって、周りの細胞とともに垢として排出されます。

しかし過剰に生成されたり、ターンオーバーが乱れて排出されにくくなったりすると、表皮内に沈着ししみとして現れます。

皮膚の浅い層で起きる変化なので、見た目は平坦で色も薄めです。

項目 ほくろ しみ
発生の仕組み 真皮にある母斑細胞が増殖してできる 表皮にメラニン色素が沈着してできる
主な原因 遺伝的要因や体質 紫外線、摩擦、加齢、ホルモンバランスの乱れ
見た目 色が濃く、やや盛り上がって1〜2mm程度 色が薄く平らで、3mm以上のことが多い
発生部位 全身どこにでもできる 紫外線を浴びやすい顔や手などに多い
治療法 切除・削除(レーザーや手術) 色素除去(外用薬やレーザー治療など)

1-2. 原因の違い

ほくろの主な原因は遺伝や体質で、思春期以降に増えるケースも多く見られます。

紫外線の影響はあまり受けず、体のどの部位にも発生する可能性があります。

一方、しみは外的要因の影響が大きく、紫外線、摩擦、加齢、ホルモンバランスの乱れなどが原因となります。

特に紫外線は、肌の防御反応としてメラニンを過剰に生成させ、結果としてしみを引き起こします。

1-2-1. ほくろの原因は遺伝的要因や体質的な要因

ほくろの主な原因は、遺伝や体質にあります。

生まれつき存在するものや、思春期以降に出現するものもあり、家族にほくろが多い場合、自分も多くなる傾向があります。

日焼けなどの外的刺激とは無関係に、体のどこにでも自然にできることが多いのが特徴です。

1-2-2. しみの原因は紫外線や摩擦、加齢、ホルモンバランスの乱れ

しみは外的・内的なさまざまな要因によりますが、特に紫外線や摩擦によって悪化します。

紫外線を浴びた部位では、メラニンが過剰に作られ、これが排出されずに蓄積するとしみになります。

また、加齢やホルモンバランスの乱れによって肌のターンオーバーが乱れやすくなり、しみが悪化することもあります。

女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)や、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌増加により、メラニン色素生成の促進、肌のバリア機能の低下、肌のターンオーバーの乱れが起こりやすくなり、しみが悪化するケースもあります。

1-3. 見た目の違い

ほくろは濃い茶色から黒に近い色をしており、やや盛り上がりのある小さな点として現れます。

ほくろとしみの違いは色・形・盛り上がりなどから判断できます。

1-3-1. ほくろはしみよりも色が濃く、ふくらみがあり1〜2㎜程度の大きさ

ほくろは黒や濃い茶色で、輪郭がはっきりしており、やや盛り上がって見えることが多いです。

大きさは1〜2mm程度が一般的で、形は丸や楕円形。指で触れると微妙な立体感があります。

このような特徴は、皮膚の深い部分で細胞が増えているために生じます。

1-3-2. しみはほくろよりも色が薄く、平らで3㎜以上の大きさ

しみは薄茶色や淡い茶色で、境界がぼんやりとしていて、平らな見た目です。サイズは3mm以上になることも多く、不規則な形で広がることもあります。

また、複数のしみが集まって目立ちやすくなるケースも少なくありません。肌に密着するような印象を持つのがしみの特徴です。

1-4. 発生しやすい部位の違い

ほくろは全身どこにでもできる可能性があります。顔や腕、背中だけでなく、普段は日光が当たらないような場所にも現れます。一方、しみは紫外線の影響を受けやすいため、顔・手の甲・首・肩など日光にさらされやすい部位に集中して発生します。この点からも、生活環境や紫外線対策の有無がしみに大きく関わっていることがわかります。

1-4-1. ほくろは体のさまざまな部位に発生しやすい

ほくろは体中どこにでも現れます。

顔や腕、脚だけでなく、衣類で隠れるような部分にもできることがあります。

紫外線の影響を受けない部位にもできるため、日光とは関係なく増えるケースが多いです。

1-4-2. しみは日光に当たりやすい部位に発生しやすい

しみは、紫外線の影響を受けやすい部位に出やすい傾向があります。

顔、手の甲、首、肩など、日常的に太陽光にさらされる部位に目立ちます。

日焼け止めを塗らない習慣や長年の紫外線蓄積が原因となることも多く、見た目の印象にも大きく関わってきます。

1-5. 治療法の違い

ほくろは腫瘍性の病変であるため、レーザーや手術などで細胞ごと除去する治療が基本です。

色だけを薄くする処置では再発のリスクがあります。

一方で、しみは表皮のメラニン色素に対処するため、外用薬やレーザーによって色素を分解・排出する治療が行われます。

えいご皮フ科では、これらの違いをふまえて個別に最適な治療法を提案しています。

1-5-1. ほくろは「切り取る」「削り取る」治療を行う

ほくろは良性の腫瘍とされ、母斑細胞を取り除く必要があります。

そのため、メラニンだけを薄くするような治療では不十分で、再発のリスクがあります。

えいご皮フ科では、CO2レーザーや外科的切除など、状態に合わせた安全な除去法を提案しています。

1-5-2. しみは「色素を抜く」治療を行う

しみは主にメラニン色素の沈着によってできるため、色素にアプローチする治療が基本です。

Qスイッチレーザーやフォトフェイシャル、外用薬などでメラニンを減らすことで改善が期待できます。

えいご皮フ科では肌質やしみの種類を見極めたうえで、レーザーなどの効果的な治療法を案内しています。

2. 症状別にほくろとしみの治療法を解説

ほくろやしみの治療は、見た目の症状だけでなく、原因や発生部位、深さなどによって適した方法が大きく異なります。

特に同じ「しみ」に見えても、実際には数種類に分かれ、それぞれに適切な治療法が必要です。

ここでは、えいご皮フ科の診療経験をもとに、症状ごとの治療法について詳しく紹介します。

2-1. ほくろの大きさに応じた治療法

小さなほくろ(直径数mmまで)は、CO2レーザーやサージトロンなどで慎重に削り取り除去するのが一般的です。

出血が少なく、縫合の必要もないため、約2週間の軟膏処置で自然治癒します。

盛り上がりが強かったり、直径が大きい場合は、紡錘形に切除して縫合する外科手術が行われます。

最終的な傷跡は数ヶ月かけて徐々に目立たなくなります。

2-1-1. 【数mmまでの小さいほくろ】CO2レーザーやサージトロン

直径が数mmまでの小さなほくろであれば、レーザー(CO2レーザー、エルビウム・QスイッチYAGレーザーなど)でほくろ全体を焼き取る方法や、電気メス(サージトロン)でくり抜く方法が一般的です。

レーザーはほくろを瞬時に焼灼し、周囲の皮膚へのダメージを抑えながら除去できます。

サージトロンは円形にくり抜いて取り除く方法で、傷口は縫合せず、約2週間の軟膏処置を続けることで自然に治癒します。

治療直後は赤みがありますが、時間の経過とともに目立ちにくくなります。

2-1-2. 【数mm以上のほくろ】切開手術

やや大きなほくろや、盛り上がりが顕著な場合には、切開手術が必要です。

ほくろの周囲を紡錘形に切除し、皮膚を縫合する方法が一般的で、約1週間〜10日で抜糸を行います。

術後の赤みや硬さは数か月かけて徐々に落ち着いていき、3〜6ヶ月ほどで傷跡が自然に周囲と馴染んでいきます。

2-2. しみの種類に応じた治療法

しみにはいくつかのタイプがあり、治療法の選定を誤ると効果が得られないばかりか、悪化することもあります。

えいご皮フ科では、視診や必要に応じてダーモスコピーなどを用いて、正確な診断のもとに最適な治療法を選択します。

2-2-1. 【老人性色素斑】トレチノインやQスイッチYAGレーザー

紫外線による長年のダメージで発生する「老人性色素斑」は、境界が明瞭で比較的浅いしみです。

老人性色素班の原因は、主に紫外線のダメージによるメラニンの過剰生成のため、メラニンの排出が必要ですので、外用薬のトレチノインによってターンオーバーを促進し、メラニンを排出させる治療が効果的です。

より即効性を求める場合は、QスイッチYAGレーザーやピコレーザーでメラニンを直接破壊することも可能です。

治療回数や効果には個人差がありますが、通常2〜5回程度の治療で効果を感じやすい治療法となっています。

2-2-2. 【肝斑】トレチノイン配合GELやレーザートーニング

肝斑は、左右対称に現れるしみで、ホルモンバランスの乱れが大きな原因と言われています。

ハイドロキノンやトレチノイン配合GEL、メトメランクリームなど外用薬に加え、トラネキサム酸の内服を併用することが一般的です。

さらに、レーザートーニングや肝斑専用モードのフォト治療を用いて、穏やかにメラニンを減らすことが推奨されます。

出力の高いレーザーは悪化の原因となる上、肝斑は再発しやすいため、治療後も肌に摩擦を与えないことや紫外線対策をしっかり行うことが重要です。

2-2-3. 【そばかす】フォトフェイシャル

そばかすは、幼少期からある場合も多く、遺伝的要素が強いのが特徴です。

年齢とともに薄くなる傾向にありますが、メラニンが過剰に生成され続けると薄くならない場合もあります。

そばかすは、もととなるメラニンの生成を抑え、排出を促すことで薄くしていく治療が適しており、フォトフェイシャル(IPL)やピコレーザーによって、表皮内のメラニンを少しずつ分解していきます。

照射後は薄いかさぶたのようになり、数日で自然に剥がれ落ちていきます。

2-2-4. 【炎症後色素沈着】トラネキサム酸

ニキビや虫刺されなど、炎症の跡にできる褐色のしみが「炎症後色素沈着」です。

外傷や強い摩擦がメラノサイトを刺激した結果、メラニンが過剰生成されて発生します。

トラネキサム酸やビタミンCなどの内服が効果的で、肌の回復を促しながらメラニンの生成を抑えます。

レーザー治療を行う場合は、医師の判断によって適切な出力で行うことが重要です。ピコレーザー・QスイッチYAGレーザーも効果がありますが、過剰なエネルギーや不適切な設定は逆に色素沈着を悪化させるため、医師による診断・選定が不可欠です。

これに加え、マッサージピールも有効な選択肢となります。マッサージピールに含まれる高濃度トリクロロ酢酸(TCA)が肌のターンオーバーを促進し、コウジ酸がメラニン生成を抑えることで、気になるシミやくすみを薄くし、肌全体のトーンアップをサポートする効果が期待できます。

2-2-5. 【ADM(後天性メラノサイトーシス)】QスイッチYAGレーザー

ADMは真皮内にメラニンが沈着するタイプのしみで、原因ははっきりとは判明していませんが、紫外線やホルモンバランスの乱れといわれています。

ほかのしみは表皮にできることが多いのに対し、ADMは肌の奥深く「真皮」にできるしみで、QスイッチYAGレーザーやピコレーザーを用い、深層のメラニンをターゲットにして破壊する治療が主流となっています。

肝斑と間違われやすく、薬やフォトなどの光治療(IPL)、レーザートーニングでは治療することが難しいです。

1回での除去は難しく、複数回の照射が必要になるケースが多いですが、適切に継続することで改善が見込まれます。

2-2-6. 【脂漏性角化症】CO2レーザーやサージトロン

脂漏性角化症(老人性いぼ)は、主に加齢と紫外線が原因で現れる良性のいぼです。

30代後半から顔や首など、皮脂腺が多く紫外線を浴びやすい部位に、茶色や黒っぽい盛り上がりとして見られます。

健康への影響はありませんが、気になる場合は専門医への相談が推奨されます。CO2レーザーやサージトロンを用い、組織を丁寧に削り取る治療法が主流です。

この方法は出血が少なく、ほとんどの場合縫合の必要がないため、治療後は約2週間軟膏を塗布することで自然な回復が期待できます。

Screenshot

しみの種類 特徴 主な治療法
老人性色素斑 境界がはっきりしていて紫外線が原因 トレチノイン、QスイッチYAGレーザーなど
肝斑 境界があいまいで左右対称に出る ハイドロキノン、トラネキサム酸、レーザートーニング
そばかす 小さな斑点状で若年から出ることが多い フォトフェイシャル、ピコレーザー
炎症後色素沈着 ニキビや傷の跡にできる褐色のしみ トラネキサム酸内服、ビタミンC、低出力レーザー
ADM(後天性メラノーシス) 灰色〜くすんだ色で真皮にできる QスイッチYAGレーザー、ピコレーザー
脂漏性角化症 薄茶色から黒褐色まで様々 CO2レーザー

2-3. ほくろとしみは同時に治療できる?

ほくろとしみは、治療法だけでなく術後の経過やケア方法も異なるため、原則として同時治療は推奨されません。

ほくろ除去後は皮膚の治癒を優先する必要があり、その間にしみ治療を行うと、色素沈着や炎症を招く可能性があります。

えいご皮フ科では、肌の状態や治療の希望に合わせて、段階的に治療を進める計画を立てることを大切にしています。

2-3-1. 治療後の経過が違うため、別々に治療することをおすすめする

ほくろとしみは、使用する機器や治療方法が異なるだけでなく、治療後の経過やケアの内容も大きく異なります。

例えば、ほくろを除去した後は、皮膚の治癒を待つ期間が必要であり、その間にしみ治療を行うと炎症や色素沈着のリスクが高まる可能性があります。

えいご皮フ科では、まず皮膚の状態を総合的に評価し、段階的な治療計画を提案しています。

無理に同時治療を行わず、肌の回復を優先した慎重なアプローチを心がけましょう。

3. ほくろかしみか、自分で見分けられる?

「これって、ほくろ?それともしみ?」という疑問を持ったことはありませんか。

実は、見た目が似ていても中身が全く異なることも多く、自己判断がトラブルの原因になるケースが少なくありません。

ここでは、なぜ専門的な診断が必要なのか、その理由を解説します。

3-1. 専門家でも判断が難しいケースがある

ほくろとしみは、一般的には見た目や形状に違いがありますが、必ずしも明確に区別できるとは限りません。

たとえば、色素が薄く平らなほくろや、境界が曖昧な大きめのしみは、診断が難しい代表例です。

また、老人性いぼや皮膚がん(特に悪性黒色腫=メラノーマ)との鑑別には、高度な知識と経験が求められます。

えいご皮フ科には皮膚外科医や皮膚腫瘍専門医が在籍しており、こうした難しいケースにも対応可能です。

3-2. 誤ったケアで症状が悪化する可能性も

「しみかと思ってピーリング剤を使ったら、悪化した」「市販の薬で取ろうとして跡が残った」という相談は少なくありません。

たとえば、実はほくろだったのに強い刺激のある化粧品を使用すると、炎症や色素沈着が起きることがあります。

また、自分でほくろを削った結果、感染症や傷跡が残ってしまうことも。さらに、悪性腫瘍をしみと誤認して放置するケースもあります。

誤ったセルフケアを防ぐためにも、まずは正しい診断が何よりも重要です。

▶ 皮膚外科専門ページ:https://hifuka-eigo.com/kyoto/future/

3-3. 自己判断せず医師の診断を受けましょう

以下のような症状がある場合は、すぐに皮膚科医や美容皮膚科医に相談しましょう。

  • 最近になって急に大きくなったほくろやしみがある
  • 形や色が不規則なほくろがある
  • 出血・痛み・かゆみなどを伴う
  • 急にしみが増えた、または変化した
  • 周囲と明らかに違う色・質感のしみがある

専門医は、ダーモスコピーなどの専用機器を使って皮膚の奥まで確認し、良性か悪性か、どの治療法が最適かを判断します。

気になる変化に気づいたときこそ、早めの受診が肌トラブルを未然に防ぐカギになります。

4. まとめ

ほくろとしみは、見た目が似ていることもありますが、その仕組みや原因、治療法には大きな違いがあります。

特にしみにはさまざまな種類があり、誤った自己判断でケアを行うと、逆に悪化させてしまうことも。

ほくろに関しても、見た目だけでは良性か悪性かの判断が難しいケースがあり、注意が必要です。

えいご皮フ科では、皮膚外科や美容皮膚科の専門医が在籍し、症状に応じた適切な診断と治療をご提案しています。

「なんとなく気になる」「最近変化してきた」と感じたときこそ、受診のタイミングです。自己判断を避け、専門医と一緒にご自身の肌を丁寧にケアしていきましょう。

正しい知識と専門的な治療で、肌の健康を守りましょう。