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酒さによる赤ら顔に悩むあなたへ〜効果的な治療と毎日のケア方法

2025/09/30

赤ら顔(酒さ)にお悩みの方へ。

本記事では皮膚科医の視点から、症状の見分け方や原因に合わせた治療法、肌にやさしいスキンケアの方法をわかりやすくご紹介します。

自分に合った対策を知り、赤みを少しでも軽くするための参考にしてください。

Contents

1. 赤ら顔(酒さ)とは?

赤ら顔、特に医学的に「酒さ(しゅさ)」と呼ばれる症状は、顔に慢性的な赤みやほてり、さらにはブツブツとした炎症が現れる皮膚の疾患です。

一見するとニキビや日焼けのように見えることもありますが、その原因や対処法はまったく異なります。

しかも、男女問わず20代後半から40代にかけて発症しやすく、一度出始めると長期間にわたって悩まされる方が多いのが特徴です。

多くの方が市販の化粧水や敏感肌向けアイテムで何とかしようと試みますが、酒さの原因をしっかり理解しなければ、根本的な改善にはつながりません。

まずはこの症状の基礎知識をおさえることが大切です。

1-1 酒さの疾患分類

酒さは「しゅさ」と読みます。

「酒」と書くため、お酒が原因なのではと誤解されがちですが、実際にはアルコールが直接の原因であるとは限りません。

酒さは医学的には慢性炎症性皮膚疾患の一種であり、顔の毛細血管が拡張したり、皮脂腺の異常が見られたりすることが特徴です。

この疾患には大きく4つのタイプがあります。

タイプ 主な症状
紅斑・毛細血管拡張型 常に赤みがあり、毛細血管が透けて見える
丘疹・膿疱型 ブツブツや膿を伴う発疹がある
鼻瘤型 鼻が腫れ、ゴツゴツと変形することがある
眼型 目のかゆみや充血、異物感などが見られる

それぞれ症状の現れ方や治療法が異なるため、まず自分がどのタイプに該当するかを知ることが重要です。

1-2 赤ら顔との違いと医学的な定義

一般的に「赤ら顔」と呼ばれる状態は、寒暖差や緊張、アルコールの摂取などによって一時的に顔が赤くなる現象も含まれます。

しかし、酒さはこれとは異なり、日常生活での刺激とは関係なく、慢性的に赤みが続く皮膚疾患です。

たとえば、「冬になると頬が赤くなるけれど春には落ち着く」という人と、「年中頬が赤く、しかもヒリヒリしたりブツブツが出る」という人では、対応すべき対策はまったく違います。

前者は一時的な血管収縮によるものの可能性が高いですが、後者は炎症性の皮膚トラブルの可能性が高く、皮膚科での診断と治療が必要です。

酒さは見た目だけでなく、かゆみやほてり、さらには人前に出ることへのストレスにもつながりやすいため、早めの対応が求められます。

赤みがあるからといって「敏感肌」と決めつけるのではなく、まずは専門医に相談し、症状の背景を正しく知ることが大切です。

自分の肌に合った対策を講じることで、酒さは十分にコントロール可能な疾患です。

2. 赤ら顔の主な原因とメカニズム

赤ら顔(酒さ)の発症には、さまざまな原因が関係しています。

顔の皮膚は外界に常にさらされているため、内的・外的な影響を受けやすく、人それぞれ異なる要因が組み合わさって症状が現れます。

原因を正しく見極め、自分に合った治療や生活の見直しを始めましょう。

2-1 男性に多い原因:皮脂・飲酒・生活習慣

男性の赤ら顔に多く見られるのが、過剰な皮脂分泌による炎症です。皮脂腺の活動が活発な男性の肌は、皮脂と汗が混ざりやすく、毛穴が詰まりやすい状態になります。

特に脂っこい食事や睡眠不足、ストレスの多い生活を送っていると、赤みやブツブツが悪化しやすくなります。

また、アルコールの摂取も見逃せません。お酒を飲むと血管が一時的に広がるため、顔の赤みが強調されます。

たとえば、週末に深酒をすると翌朝顔が赤くなり、そのまま慢性的に赤ら顔が続くようになったというケースもあります。

生活習慣の見直しは、症状の改善に直結します。

2-2 女性に多い傾向:ホルモン・敏感肌・ストレス

女性の場合、ホルモンバランスの影響が大きく関係しています。

生理周期や妊娠、更年期などの時期には、肌が不安定になり、少しの刺激でも赤くなりやすくなります。

また、敏感肌の人は化粧品を変えたり、刺激の強いスキンケアを続けたりすることで、症状が悪化することも少なくありません。

2-3 外的要因:紫外線・気温差・香辛料などの刺激

外部からの刺激も、赤ら顔の悪化に大きく関与します。特に紫外線は、肌のバリア機能を低下させ、毛細血管の拡張を招くため注意が必要です。

日差しの強い日には、肌がピリピリとしたあと赤く腫れるようになったという声が多く寄せられます。

そのほかにも、寒暖差によって血管が急激に収縮・拡張を繰り返すことで赤みが生じやすくなります。

また、辛い料理や熱い飲み物も、体温上昇を引き起こし、顔の赤みに拍車をかけることがあります。

これらの要因はコントロールしやすいため、日常的に気をつけるだけでも肌への負担を減らせます。

2-4 内的要因:遺伝・ニキビダニ・免疫異常など

内的な体質も、酒さの発症に深く関係しています。まず、遺伝的な素因として、肌が薄く血管が透けやすい体質の人は、他の人よりも赤ら顔になりやすい傾向があります。

さらに近年注目されているのが、ニキビダニ(デモデックス)との関係です。この微小なダニが皮膚に増殖すると、炎症や赤みを引き起こすことがあると考えられています。

参考:アメリカ皮膚科学会誌|酒さにおけるデモデックス感染の役割:系統的レビューとメタアナリシス
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0190962217304292?utm_source=chatgpt.com

また、免疫の過剰反応や自律神経の不安定さも、顔の血管反応を過敏にする要因とされています。

内側からのケアや専門的な検査によって、根本的な対策を講じることが可能です。

3.自分の症状タイプを見極める

赤ら顔(酒さ)は人によって現れ方が異なり、適切な治療やケアを行うには、自分の症状がどのタイプに当てはまるかを正確に見極めることが重要です。

以下では、代表的な4つのタイプについて詳しく説明します。

3-1 紅斑・毛細血管拡張型(常に赤い)

このタイプは、顔全体または頬や鼻の周辺が常に赤く見える状態が特徴です。

特に毛細血管が拡張し、肌の表面から細かい血管が透けて見えることがあります。

温度差や緊張によって赤みが増すことも多く、「すぐに顔が赤くなる体質」と誤解されることもあります。

こうした赤みは、紫外線の影響や生活習慣の乱れが関係していることがあり、症状に応じて血管収縮作用のある外用薬やレーザー治療が選択肢となります。

3-2 丘疹・膿疱型(ニキビ様のブツブツ)

一見するとニキビのように見えるこのタイプは、赤みのある小さなブツブツ(丘疹)や白い膿を含んだ膿疱が顔に広がるのが特徴です。

ただし、一般的なニキビとは異なり、皮脂の詰まりやアクネ菌ではなく、炎症や免疫反応が原因とされています。

例えば、「思春期を過ぎてもニキビのような発疹が繰り返し出る」といった悩みを抱える方の場合、酒さの丘疹型である可能性があります。

ステロイド外用薬の長期使用が悪化の原因となっているケースもあり、適切な治療に切り替えることで数週間で症状が改善することがあります。

誤診や自己判断による悪化を防ぐためにも、専門医の診断を受けることが重要です。

3-3 鼻瘤型(鼻の腫れ・変形)

鼻瘤型は、主に中高年の男性に多く見られるタイプです。鼻の皮膚が分厚くなり、ゴツゴツと盛り上がるような変形が起こります。

皮脂腺が肥大化し、毛穴も拡張するため、見た目の印象に強く影響を与えるのが特徴です。

症状が目立つ場合は手術やレーザー治療を検討することになります。進行を遅らせるには、初期段階での対応がとても大切です。

3-4 眼型(目のかゆみ・充血・乾燥)

顔の赤みとあわせて、目の不快感を伴う場合は眼型の酒さが疑われます。かゆみや異物感、充血、涙の減少による乾燥といった症状が現れます。

眼科疾患と混同されることも多く、見逃されやすいタイプです。

このようなケースでは、皮膚と眼の両方に対する治療が必要となり、適切な対処によって症状の改善が期待できます。

4.治療法の選択肢とその違い

赤ら顔(酒さ)の治療は、症状のタイプや進行具合によって大きく異なります。

原因や肌質を見極めたうえで、外用薬・内服薬・医療機関での治療・生活習慣の見直しなどを組み合わせて対処することが大切です。

ここでは主な治療法とその違いについて詳しく解説します。

4-1 外用薬・内服薬の種類と役割

酒さの治療には、まず外用薬や内服薬が基本として用いられます。外用薬は、肌に直接塗布して炎症をおさえる目的で使われ、赤みやブツブツがある方に有効です。

代表的なものに、抗炎症作用をもつ薬や、毛細血管の収縮を促す成分が配合されたものがあります。

内服薬は、主に症状が広範囲に及ぶ場合や、外用薬だけでは効果が不十分なときに処方されます。抗生物質系の薬を短期間使用し、肌の炎症反応をしずめることが多いです。

市販薬の使用は逆効果になることもあります。とくにステロイドを長期使用した結果、酒さ様皮膚炎に進行してしまったケースも少なくありません。

4-2 医療機関での治療

症状が中等度以上の場合には、医療機関での専門的な治療が必要です。

えいご皮フ科では、クリニック限定化粧品で天然由来のアゼライン酸を使用した「AZAクリア」や、保険適用の「ロゼックス」などの薬用クリームを処方しています。

AZAクリアは刺激が少なく、安全性が高く妊娠中の方でも使用が可能です。

酒さは顔など常に外界に露出する部分に起こりやすく、ご自身の自然免疫が赤みなどの問題を引き起こしています。

再発をくり返すような場合や、間違ったスキンケアで悪化してしまった患者さんにこれらの薬を処方し、多くの改善例が見られています。

また、症状によってはレーザー治療との併用も選択肢となり、より根本的な改善を目指すことができます。

4-3 保険診療と自由診療の違い

酒さの治療には、保険適用されるものと自由診療になるものがあります。

たとえば、外用のメトロニダゾールや内服の抗生物質など、一般的な治療薬は保険で処方されることが多いため、費用面でも安心です。多くの患者さんが保険診療から治療を開始しています。

一方、自由診療には、イベルメクチン外用薬や特定のレーザー治療、ダウンタイムの少ない先進的な治療などが含まれます。

これらは保険が適用されない分、費用はかかりますが、保険診療での改善が乏しい方や早期に目に見える効果を求める方にとっては有効な選択肢です。

項目  保険診療 自由診療
対象治療 外用薬・内服薬など レーザー・特殊外用薬など
費用 一部自己負担 全額自己負担
効果 緩やかな改善 短期間での改善が期待できる
相談のしやすさ 保険適用内で受けやすい 要事前説明・確認が必要

治療の幅を知ることは、継続的な改善のための大切な一歩です。

5.赤ら顔に効果が期待できるレーザー治療

赤ら顔(酒さ)の治療では、内服薬や外用薬だけで改善が難しいケースもあります。

そうした場合に選択肢となるのが、医療機関で行うレーザー治療です。

ここでは、レーザーの種類やその作用、治療回数や費用感、実際の症例を交えてご紹介します。

5-1 主なレーザーの種類と作用原理(Vビームなど)

赤ら顔に対して効果が期待されるレーザーの中で、代表的なのが「Vビームレーザー」です。

このレーザーは、赤色の色素に反応し、拡張した毛細血管を選択的に破壊する働きがあります。

周囲の正常な皮膚にはダメージを与えにくいため、酒さのような血管性の赤みにとても有効です。

Vビームはパルスダイレーザーと呼ばれる種類で、照射するときに肌に冷却ガスを吹きつけるため、痛みも抑えられます。

また、同様の目的で使用されるレーザーにYAGレーザーやIPL(光治療)もあります。

5-2 治療の回数・費用・ダウンタイム

レーザー治療は1回で劇的な変化が出るものではなく、通常は2〜4週間おきに数回の照射を繰り返すことで徐々に赤みを減らしていきます。

目安として、軽度なら2〜3回、中等度以上では5回以上かかることもあります。

費用は1回あたり1万円台後半〜3万円前後が相場ですが、治療範囲や肌の状態によって異なります。

保険適用外となるため、事前に見積もりを確認することが大切です。

ダウンタイムは比較的短く、施術後に軽い赤みやヒリつきが出る程度で、数時間〜数日で落ち着きます。

ただし、まれに紫斑(うすい内出血のようなもの)が出ることもあるため、大事な予定の直前は避けた方がよいでしょう。

5-3 レーザー治療の前に確認しておきたいこと

レーザー治療は赤ら顔に効果的な選択肢の一つですが、すべての症状に適応できるわけではありません。

特に炎症が強く膿疱が目立つ場合は、まずは内服薬や外用薬などで炎症を抑えることが優先されます。

また、肌が極端に敏感な方や、日焼け直後の肌には刺激となる可能性があるため、タイミングや肌状態を見極めて慎重に対応することが大切です。

6.スキンケアと化粧品の選び方

赤ら顔(酒さ)に悩む方にとって、スキンケアは症状の改善につながることもあれば、逆に悪化させてしまうこともあります。

とくに化粧水や美容液の選び方、成分の確認、性別によるアプローチの違いを意識することが重要です。

6-1 化粧水・美容液の成分で避けるべきもの

赤ら顔の肌は非常に敏感なため、刺激のある成分は炎症や赤みを悪化させる可能性があります。

以下のような成分が入っていないか、必ずチェックしましょう。

避けたい主な成分

成分名  影響・理由
アルコール 刺激が強く、乾燥や赤みを悪化させる
香料・着色料 肌トラブルの原因となりやすい
メントール 清涼感が逆に刺激となる
グリコール酸等 ピーリング作用でバリア機能を低下させる

見た目や使用感だけで選ぶのではなく、成分表示を確認することが大切です。

6-2 赤ら顔に向いている敏感肌向け製品例

赤ら顔の方には、肌のバリア機能をサポートし、刺激を与えにくい製品を選ぶことが重要です。

具体的には以下のような特徴を持つ製品が好まれます。

選びたいスキンケアの特徴

成分名  期待される効果
セラミド 肌のバリア機能をサポート
ヒアルロン酸 保湿効果が高く乾燥を防ぐ
グリチルリチン酸2K 抗炎症作用があり、赤みを抑える
アラントイン 肌の修復を促進し、刺激をやわらげる

敏感肌向けに設計された「低刺激」タイプの基礎化粧品は、赤みを抑えたい方にとって心強い味方です。

ただし、肌との相性もあるため、少量でパッチテストを行いましょう。

えいご皮フ科では、オリジナルの低刺激性石鹸「E-ソープ」を取り扱っています。

ご興味のある方は医師、看護師にお申し付けください。

6-3 男性向け・女性向けのケアの違い

男性と女性では、スキンケアにおける優先順位や注意点が異なります。

男性は皮脂量が多く、毛穴詰まりや赤みが出やすい一方で、保湿が不十分な方が多く見られます。

女性はスキンケアに関心は高いものの、美白やエイジングケア用の製品に含まれる刺激成分が赤みを悪化させるケースもあります。

男女共通で大切なのは、「刺激を与えず、保湿をしっかり行う」ことです。

ケアの方向性に迷ったときは、医師に相談して、肌質に合った製品を選ぶことをおすすめします。

7.自宅でできるセルフケアと再発予防

 赤ら顔(酒さ)の治療には医療の力が必要ですが、日常生活の中で行えるセルフケアも、症状の改善や再発予防に大きく影響します。

ここでは、ご自宅で意識してほしい3つのセルフケアのポイントをご紹介します。

7-1 紫外線・温度差への具体的な対応法

紫外線と急激な気温差は、赤ら顔の大きな悪化因子です。肌の表面を傷つけたり、毛細血管を広げたりすることで、赤みやほてりが強まります。

以下の対策を習慣化しましょう。

おすすめの対応方法

  • 外出時はSPF30前後の低刺激性の日焼け止めを使用
  • 帽子や日傘、マスクで肌を直接守る
  • 冷暖房の風が直接顔に当たらないように注意
  • 冬場はマフラーやネックウォーマーで温度差から肌を守る

日常のちょっとした工夫を積み重ねることで、赤みの悪化を防ぎ、肌への負担を軽減することができます。

無理のない範囲で取り入れて、肌の安定を目指しましょう。

7-2 食生活とサプリの活用

食べ物の内容も、赤ら顔の安定に影響します。香辛料やアルコール、熱い飲み物などは血管を拡張させやすいため、できるだけ控えるのが理想です。

一方で、抗炎症作用や肌のバリア機能を高める栄養素を積極的に摂ることはおすすめです。

取り入れたい栄養素と食品

  • ビタミンC:赤ピーマン、キウイ、ブロッコリー
  • ビタミンE:アーモンド、アボカド、かぼちゃ
  • オメガ3脂肪酸:さば、いわし、亜麻仁油
  • 亜鉛:かき、レバー、ナッツ類

これらをうまく食事で補えない場合は、医師に相談のうえでサプリを取り入れるのも有効です。

7-3 ストレス・睡眠・運動の整え方

肌は心と密接につながっており、ストレスがたまると自律神経が乱れ、赤みが悪化しやすくなります。

実際、「仕事が忙しい時期になると必ず赤くなる」と悩む人も少なくありません。

ストレスをため込まない生活を意識し、以下のような習慣を取り入れてみてください。

  • 夜はスマホを控え、睡眠時間を6〜8時間確保
  • 軽めの有酸素運動(散歩・ヨガなど)を週2〜3回
  • 朝の深呼吸やストレッチで血流を整える
  • 入浴はぬるめ(38〜40度)でリラックス重視

こうした習慣を日々の生活に取り入れることで、心身のバランスが整い、赤みの悪化を防ぐ一助となります。

無理のない範囲で続けることが大切です。

8.酒さと似た症状との見分け方

赤ら顔の症状には、見た目が似ていても原因や治療法がまったく異なるものがいくつもあります。

酒さとよく混同される皮膚疾患の例として、ステロイドの副作用による酒さ様皮膚炎や、脂漏性皮膚炎、アレルギー反応、ニキビなどが挙げられます。

これらを正確に診断し、適切な治療につなげることが大切です。

8-1 酒さ様皮膚炎(ステロイド使用後の赤ら顔)

「市販のクリームを塗っていたら赤みが悪化した」という相談は意外と多く、その中にはステロイドが原因となっているケースが含まれています。

酒さ様皮膚炎とは、ステロイド外用薬を長期間使用したあとに起こる皮膚の慢性炎症です。

酒さに非常によく似ており、赤み・毛細血管の拡張・ブツブツ・皮むけといった症状が現れます。

自己判断での塗り薬の使用はリスクが高いため、注意が必要です。

8-2 脂漏性皮膚炎・ニキビ・アレルギーとの違い

脂漏性皮膚炎も酒さとよく似た赤ら顔の一つで、特に鼻のわきや眉間、額にかけて赤みとカサカサが出るのが特徴です。

皮脂の分泌が多い部位に発生しやすく、かゆみを伴うこともあります。

酒さとの違いは、脂漏性皮膚炎は黄色っぽいフケ状のかさぶたが出やすい点です。

また、ニキビは毛穴に皮脂や角質が詰まって炎症を起こす疾患で、酒さの丘疹型と見分けがつきにくいこともありますが、ニキビは通常、顔だけでなく背中や胸にもできます。

アレルギー反応による赤みは、接触した直後に強く出るケースが多く、腫れやかゆみ、湿疹を伴うことが特徴です。酒さはこれらと異なり、慢性的に赤みが続き、特定のアレルゲンに反応するわけではありません。

疾患名 主な症状 酒さとの違い
脂漏性皮膚炎 赤み+皮むけ、かゆみ 脂っぽい部位に限定、フケ状のかさぶた
ニキビ 白ニキビ、黒ニキビ 顔以外(背中など)にも出やすい
アレルギー反応 赤み、腫れ、かゆみ 原因物質との接触後に急に出現する

8-3 医師の診断が必要な理由と注意点

見た目だけでは判断が難しいこれらの疾患を、正しく見極めるには医師の診断が不可欠です。

特に赤ら顔は「体質のせい」「すぐ治るもの」と軽視されがちですが、自己判断でスキンケアや市販薬を続けてしまうと、かえって症状を長引かせたり、悪化させたりする危険があります。

似ている症状ほど見分けが難しいからこそ、専門の医師の診察を受けることが、回復への最短ルートです。

9.よくある質問

Q1.赤ら顔の原因は何ですか?

A.赤ら顔の原因はさまざまですが、代表的なものに酒さ、毛細血管の拡張、敏感肌、ホルモンバランスの乱れなどがあります。

また、紫外線や気温差、ストレス、飲酒などの外的刺激によっても悪化することがあります。

皮脂分泌や免疫反応の乱れが関係していることも多く、原因を特定して適切に対処することが大切です。

Q2.赤ら顔は治せますか?

A.赤ら顔はタイプや原因によって治療方法が異なりますが、症状をコントロールすることは十分可能です。

外用薬や内服薬、Vビームなどのレーザー治療を適切に組み合わせ、生活習慣を見直すことで改善した症例も多くあります。

Q3.顔の赤みはどうやって消すの?

A.顔の赤みを消すには、まず原因を見極めることが必要です。

毛細血管の拡張であればレーザー治療、炎症がある場合は外用薬や内服薬が有効です。

スキンケアでは、アルコールや香料を避け、低刺激の保湿剤を使うことが基本です。

紫外線対策や生活改善も赤みの軽減に大きく関与します。

Q4.顔が赤い人は何が原因ですか?

A.常に顔が赤い人は、毛細血管が拡張しやすい体質や、酒さ、ステロイド外用薬の長期使用などが関係していることが多いです。

また、脂漏性皮膚炎やニキビ、アレルギーも赤みの原因になることがあります。

自己判断せず、皮膚科で診断を受けることで、正しい対策を取ることができます。

Q5.赤ら顔にビタミンCは効く?

A.ビタミンCには抗酸化作用があり、毛細血管の強化や皮膚の炎症を抑える働きがあるため、赤ら顔の補助的なケアとして期待できます。

特に内服とあわせて、ビタミンC誘導体を含む低刺激の化粧品を使うと肌のバリア機能も整いやすくなります。

ただし、根本的な改善には医療的な治療が必要です。

Q6.赤ら顔の原因は肝臓ですか?

A.肝臓の不調によって顔に赤みが出ることはごく一部に限られます。

一般的な赤ら顔の原因は皮膚の炎症や毛細血管の異常が中心で、肝機能の異常とは直接関係しないことがほとんどです。

ただし、お酒をよく飲む方で赤みが出やすい場合は、飲酒による血管拡張が関係している可能性があります。

まとめ

赤ら顔(酒さ)は、正しい知識と継続的なケアによって改善が期待できます。

悩んだときは、早めに皮膚科で相談し、自分の肌に合った治療法を見つけることが大切です。