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痕(跡)になりやすい鼻ニキビの治し方。きちんと治療するために知っておくべきこと

2024/09/25

「痛みのあるニキビと、鼻にできるニキビはきちんと治しておかないと痕(跡)になりやすいです。」
そう話すのは、えいご皮フ科のニキビ博士こと、村上医師です。
鼻ニキビをきれいに治すためにできることをわかりやすく解説します。

何度も繰り返す、鼻ニキビが気になる

鼻の周辺は毛穴が深く、皮脂やメイクの汚れがほかの部位に比べて溜まりやすくなっています。

皮脂の分泌が多い思春期にできやすいイメージがあるかもしれませんが、大人の方でもできてしまうことがあります。

またマスクを着用するときに刺激を受けやすい部位でもあります。

肌がこすれるなどの刺激がニキビの原因になってしまうため鼻ニキビは繰り返しできやすくなってしまいます。

悪化の原因?!気を付けたいこと

できてしまった鼻ニキビは目立つし、ひどくなる前に早く治したいと思うかもしれません。

けれど、その行動が逆に症状を悪化させてしまう原因になってはいないでしょうか。鼻ニキビのやってはいけないNG行動をチェックしましょう。

気になりすぎていじってしまう

できてしまった鼻ニキビが気になって触りすぎてしまったり、つぶしてしまったりしていませんか?

これはやってはいけない行動です。

手にはたくさんの雑菌が付着しており、鼻に触れることで細菌が広がり炎症を起こしやすくなってしまいます。

つぶしてしまうことで、炎症の原因となる菌や物質が広がってしまうだけではなく、その刺激で更に炎症物質が分泌されてしまいます。

もしつぶしてしまったら、患部を清潔にして、化粧水やローションで保湿し、可能なら皮膚科を受診するようにしましょう。

ティッシュの摩擦を加える、マスクを着用する

しっかりと鼻をかんでいませんか。

ティッシュで摩擦を起こしてしまうと皮膚の表面の角質層が削れてしまい、皮膚のバリア機能そのものが低下してしまいます。

ニキビを隠そうとしてマスク着用するのも注意が必要です。

湿度が高くなり皮膚が蒸れた状態になるとニキビの原因となるアクネ菌の活動が活発になり、ニキビの症状が進行してしまう可能性があります。

偏った食生活を送っている

食生活が偏ってしまうと、栄養不足になったりしてホルモンバランスが乱れてしまいます。

ホルモンバランスの乱れは皮脂の過剰な分泌の原因になってしまいます。特に女性は生理の前後に黄体ホルモンの影響を受けてニキビができやすくなっています。

女性ホルモンの一つである黄体ホルモンは皮脂の分泌を促す作用があります。

十分な睡眠がとれていない

睡眠不足が続くと肌のターンオーバーに関わる成長ホルモンの分必が乱れてしまいます。

そうすると肌の新陳代謝が進まず古い角質が残り、皮脂の詰まる原因になります。

メイクの汚れが残っている

メイクをしたまま長時間経過すると、汚れと皮脂が混ざり合って毛穴の詰まりの原因になってしまいます。

鼻は凹凸があるので、メイクも汚れも残りやすい部位です。正しく効果的なクレンジングをするようにしましょう。

毛穴が詰まると、肌の表面が乾燥しやすい状態になってしまい皮脂の分泌が過剰に促されてしまいます。

余分な皮脂は毛穴つまりの原因になるので、悪循環を繰り返してしまいます。

紫外線を浴びる

紫外線も鼻ニキビの原因となります。

紫外線を浴びると、皮脂は酸化してしまい炎症が起こりやすくなります。

さらに紫外線の刺激から肌を守ろうとして角質は厚みを増し、結果的に肌が硬くなり毛穴の詰まりを起こしやすくなります。

ニキビができてしまっている状態で紫外線に当たると、肌のメラニン色素がさらに増加することになるのでニキビ跡が黒く残ってしまう可能性があります。

鼻ニキビを治す薬はどんなのがある?

ニキビは炎症の状態によって治療法が変わってきます。

◆進行する前に!初期ニキビ(炎症していない白ニキビ・黒ニキビ)の治療薬

【外用薬】

アダパレン(ディフェリン・エピデュオ)→毛穴のつまりを改善するお薬
【外用薬】

過酸化ベンゾイル(ベピオ・デュアック・エピデュオ)→アクネ菌に対して抗菌作用があり、毛穴のつまりが改善されるため白ニキビへの改善が期待できる塗り薬です。
【内服薬】

ビタミン剤(シナール)皮脂分泌量の抑制や抗酸化作用が期待できる飲み薬です。

【漢方薬】

十味敗毒湯→身体のバランスを整えることで、身体の内側からニキビの改善を促します。

患者さんの症状や体質に応じて、効果的な薬剤の調整が必要です。

効果の発現は比較的ゆっくりとなり、早ければ2週間、場合によっては2・3ヶ月かかる場合もあります。

◆症状は進行中!炎症を伴う赤いニキビ・黄ニキビの治療薬

進行しているニキビは外用薬だけを塗布していても治りません。

痛みがあり、深いニキビほど治るのには時間がかかり、肌の機能が低下した状態で炎症が続くと皮膚組織の深い部分でダメージを受けてしまいます。これがニキビ痕(跡)になってしまう原因です。
なるべく早い段階で診断を受け、効果的な治療を選択することが望ましいです。

ニキビの状態は様々あり、自己判断は難しいので治療薬の診断は医師が行いますので、医師に相談しましょう。
【外用薬】

ダラシン(クリンダマイシン)ゲル(リンコマイシン系抗生物質の外用薬。炎症を抑える作用がある)
【外用薬】

ゼビアックスローション・クリーム(キノロン系の抗菌薬。アクネ菌などに対して抗菌作用がある)
【外用薬】

アクアチムローション・クリーム(ニューキノロン系抗生物質。皮膚表面の細菌が増殖するのを妨げ、殺菌する効果がある)
【内服薬】

ミノマイシン(テトラサイクリン系の抗生物質。抗菌力が高く、比較的耐性菌が少ないのが特徴)
【内服薬】

ファロム(ペネム系抗菌薬。アクネ菌が増殖するのに必要な細胞壁を合成できなくする)
【内服薬】

ビブラマイシン(テトラサイクリン系の抗生物質。優れた抗菌作用と安定した吸収率がある)
【内服薬】

ルリッド(マクロライド系の抗生物質タンパク質の合成を阻害して増殖を防ぐ)
【漢方薬】

十味敗毒湯(ジュクジュクとした患部から水と熱を発散させ肌を正常に導く働きがある)
【漢方薬】

清上防風湯(皮脂の多いタイプによく効きます。熱を発散させて、膿を輩出する働きがある)
※漢方薬はゆっくりと効果が出てくるものなので、3か月程度続けていく必要があります。詳細は医師にお問い合わせください。

鼻ニキビができにくい環境にするには?

ニキビは繰り返しできてしまうもの、と諦めてしまっていませんか?
当院では一度きれいに治してから通院をやめてしまい、1年足らずで再診される方も多いです。

定期的な皮膚科受診を続けて、外用薬を継続することで再発を防ぐことができます。また肌の状態に合わせた治療を提案することもできます。
自宅でのメンテナンスの基本は、普段の洗顔を正しいものにすることとニキビ肌の人が使わないほうがいい化粧品やスキンケアの知識、食生活や生活パターンをニキビのできにくいものにしていくことです。

◆丁寧に洗顔すること

毎日の洗顔は、必ず行うべきですが毎日するからこそ正しく洗顔できているかどうかが大切です。

繰り返ししているとどうしてもおざなりになってしまいがちです。洗顔の方法を見直して、肌への刺激を減らすように時々見直しをするようにしましょう。

洗顔の方法は、こちらの動画をご参照ください。

◆刺激を避ける

スキンケアでも起こりやすい摩擦による刺激や過度な洗浄による刺激には気を付けましょう。
外的刺激から肌を守るため角質は厚くなります。毛穴の周囲の角質が厚くなってしまうと皮脂の詰まりの原因にもなります。

マスクの着用時、ゴシゴシこすることなども刺激になるので気を付けておきたいところですが、髪の毛が肌に触れることも刺激の一つになりますので注意が必要です。
過度な洗浄も行うと肌が乾燥してしまい、皮脂が過剰に分必されるようになります。

◆ストレスをためない

日常生活で受けるストレスは溜めすぎてしまうと、交感神経の働きが強まってしまい休んでいるときに休めなくなってしまいます。

自律神経の不調が続くと肌の新陳代謝のサイクルを乱す原因になります。新陳代謝が乱れ、皮脂が毛穴に詰まるとアクネ桿菌が増殖してしまう環境になってしまいます。
またストレスは皮膚の免疫力を低下させるきっかけを作ります。

免疫力が下がるとアクネ菌の増殖を抑えることができなくなるのでニキビができやすい環境になってしまいます。
解消法は人それぞれですので、ストレスを感じたら早めに対処していきましょう。

◆栄養バランスの良い食事を心がける

しっかりと栄養を取ることは、体の中の組織や免疫力を再生させるために必要なことです。

タンパク質やビタミン、食物繊維などをしっかり摂るようにしましょう。

  • タンパク質:健康な皮膚を保つのに重要な成分 体の機能を調整するホルモンや酵素の材料になる

代表的な食べ物:肉、魚、卵、大豆製品、乳製品、プロテイン(大豆由来のソイプロテインがニキビに良い)

  • 必須脂肪酸:代表的なものは「オメガ3脂肪酸」 乾燥やダメージから肌を守る

代表的な食べ物:マグロ、ブリ、サンマ、青魚、アボカド、ナッツ類、食物油

  • 食物繊維:腸内環境を整えて、便秘を改善して細胞の新陳代謝を高める

代表的な食べ物;キノコ類、海藻、こんにゃく、ゴボウ、サツマイモ、レンコン

  • ビタミンA:脂溶性のビタミン。皮膚や粘膜を健康に保つように働きかける

代表的な食べ物:ニンジン、ほうれん草、レバー、春菊、ニラ、牛乳、うなぎ

  • ビタミンB群:特にB2とB6はニキビ予防に関係のある栄養素 水溶性ビタミン。

代表的な食べ物:レバー、卵、納豆、魚、豚肉、玄米、大豆製品

  • ビタミンC:肌の活性酸素を除去したりして、肌の機能をサポートする

代表的な食べ物:ブロッコリー、ピーマン、レモン、キウイ、イチゴ

  • ビタミンE:ダメージから細胞を守る働きがある。ビタミンCと合わせて取ると相乗効果が得られる

代表的な食べ物:アーモンド、ナッツ類、緑黄色野菜、うなぎ、はまち、ツナ缶、オイルサーディン

  • 亜鉛:体の機能を助ける働きがある ホルモンの分泌機能を正常化してニキビのできにくい環境にする

代表的な食べ物:牡蠣、豚レバー、牛肉の赤身、卵、カシューナッツ

鼻のニキビに効果抜群。美容皮膚科での治療は?

ニキビ治療を美容皮膚科で受けることは、できてしまったニキビの治療だけではなく肌そのものをニキビができにくい肌へと改善していくことができます。

保険診療ではないので費用はかかりますが、保険診療ではあまり改善が見られなかった方や確実にニキビを改善したい方、くり返し同じところにできるニキビの治療をしたい方へおすすめします。

  • イオン導入:ビタミンAや抗酸化物質が配合された溶剤を微弱な電流のイオン導入で浸透させます。
  • マッサージピール:皮膚の深い層にある真皮細胞に働きかけ表皮再生を活性化するケミカルピーリングです
  • レーザー顔脱毛:毛根をレーザーで焼灼するときに発生する熱がニキビの原因のアクネ菌を殺菌するのでニキビができにくくなります。
  • ダーマペン:皮膚に微細な傷を作って、皮膚の再生力を呼び起こして肌そのものを生まれ変わらせる再生医療の一つです。
  • ニードリング:特殊な医療用ローラーで皮膚に穴をあけ、少し出血させます。出血に伴う「成長因子」の放出により、コラーゲンの生成を誘導します。
  • アグネス:ニキビの原因となる皮脂を作る皮脂腺を直接破壊します。一度治療した部位は再発がほとんどみられなくなる根本的な治療です。

鼻ニキビではなく酒さの可能性も!

鼻の周辺を中心とした、顔面の中央部に生じるほてりやニキビのような発疹をニキビと思い込んでいませんか?

もしかすると鼻ニキビではなく、酒さというほかの病気の可能性もあります。

酒さは放置すると鼻瘤と呼ばれる団子鼻になることもあります。

早期に診断を受けて、抗生剤の内服薬や外用薬を使用して治療を進めることができます。

まとめ

鼻ニキビは痕になりやすい、要注意のニキビです。

できてしまった鼻ニキビは放置していても改善はされず、痕になってしまう可能性があります。

内服薬と外用薬の併用をするなど、なるべく早く処置開始し、根気よく治療するようにしましょう。

また、ニキビの原因を作らないよう気を付けて、肌の改善を行うことでニキビのできにくい環境を整えていくことも大切なことです。

自分では判断のつかないことも、医師に相談していただければ効果的な治療法をお伝えすることができます。

ニキビで受診するのは・・・とためらわずに、まずはご相談ください。

繰り返すニキビは毎日鏡を見るたびに目に留まってしまいます。

気になってストレスを抱えるよりは、根本的な治療を行える自費での治療も選択肢の一つとしておすすめいたします。