IL-4、IL-13というアトピー性皮膚炎の原因となる物質のはたらきを抑えることができる新しい治療薬(自己注射)です。「炎症」「かゆみ」「バリア機能低下」のすべてに対する効果が期待できます。今までの治療では、なかなかよくならなかった中等症~重症のアトピー性皮膚炎の患者様に対して、高い治療効果が期待できます。
アトピー性皮膚炎
Atopic Dermatitis
アトピー性皮膚炎は完治させることは難しいですが、コントロールすることで問題なく日常生活をおくれるようにすることを治療の目標とします。
アトピー性皮膚炎の
しくみMechanism
アトピー性皮膚炎は環境的な要因と乾燥しやすい遺伝的な体質にアレルギーの症状が加わり、皮膚のバリア機能が破壊されることにより発症します。
患者さまの多くが気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症や家族にアトピー性皮膚炎の方がいるなど、アトピー性皮膚炎の要因を持つことが多いです。
遺伝的要因についてアトピー性皮膚炎自体は遺伝しません。
しかし、アレルギー反応を起こすアトピー素因は遺伝する可能性があります。
環境要因(悪化因子)空気の乾燥、夏場の気温上昇、不規則な生活やストレス、ダニ・ハウスダスト、細菌やカビ、食物アレルギー、花粉など
アトピー性皮膚炎の
治療Treatment
悪化要因を除去し、薬、スキンケアで
良い状態をキープする
アトピー性皮膚炎の治療の基本は、お薬を使用してかゆみや炎症などのつらい症状の改善から始めます。ステロイド剤の使用に対して不安を感じられる方もいらっしゃいますが、症状が重い場合は、ある程度軽減されるまで使用し、症状が治まってきたらお薬を変更することができます。
その後、良い状態を維持するために保湿やビタミン補給などのスキンケアで予防・改善をします。お薬を使用した治療と同時に、
体の内側からアレルゲンや悪化因子を探し、
ひとつひとつ除去していきます。たとえば、食生活や生活習慣など、自分では普通だと思っているところに思わぬ落とし穴が潜んでいることもあります。
当院では、問診でしっかりとお話を伺いながら、悪化因子の原因を探り、入浴や洗顔など日常生活における指導も行っています。
治療につかわれるお薬
当院ではデュピクセントの他、
生物学的製剤
「ミチーガ」「アドトラーザ」の
取り扱いもございます。
コレクチム軟膏
コレクチム軟膏はステロイド外用薬や免疫抑制外用薬とは異なる作用でアトピー皮膚炎の症状をやわらげる新しいお薬です。皮膚に塗ることで炎症を起こすシグナルをブロックすることで炎症やかゆみを抑えます。皮膚の乾燥や皮膚委縮などの副作用がないことが特徴です。
プロトピック軟膏使用時に感じやすいヒリヒリ感なども感じにくくなっています。また、副作用が少ないため、長期的に使いやすいお薬です。
炎症を抑える力はステロイド外用薬やプロトピック軟膏よりも弱いことから、ある程度皮膚の炎症が落ち着いている場合に適しています。症状が一旦落ち着いた後の再燃を防ぐ目的などで使用します。
モイゼルト軟膏
モイゼルト軟膏はステロイド外用薬や免疫抑制外用薬とはことなり、PDE4という物質の活性を阻害して、皮膚の炎症を起こす物質を減らすことで、アトピー性皮膚炎の症状を改善するお薬です。
コレクチム軟膏同様に副作用が少なく、長期的に使用することができます。軽度のアトピー性皮膚炎や症状の再燃防止に使用されることが多いです。
モイゼルト軟膏は、生後6ヶ月から使用することができ、使用量の上限もありません。体など広い範囲はモイゼルト軟膏の処方、顔や手等はコレクチム軟膏の処方と部位によって処方する場合もあります。
アトピー性皮膚炎の
よくある質問FAQ
Qアトピー性皮膚炎ではどのような治療が行われますか?
当院ではまず、お薬でかゆみや炎症などのツライ症状を改善します。ステロイド剤の使用を不安に思う方もおられますが、症状がきついときには、ある程度軽減するまで使い、症状がおさまってきたらお薬を変えることもできます。その後、良い状態を維持するために、保湿やビタミン補給といったスキンケアによる予防・改善を行います。同時に体内からアレルゲンや悪化因子を探し、ひとつひとつ除去していきます。日常の食生活や生活習慣などに思わぬ落とし穴が潜んでいることもあるため、看護師がきめ細かい問診でお話しを伺いながら必要な指導を実施させていただきます。ステロイド剤の使用歴が長く重症度の高いアトピー性皮膚炎の患者さまにはデュピクセント治療を提案しています。
デュピクセント治療についての詳細Qアトピー性皮膚炎の症状を抑えるために注意すべきことはありますか?
アトピー性皮膚炎の症状を抑えるために以下のことを注意してください
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1.乾燥を防ぐ
肌が乾燥すると、症状を悪化させる可能性があります。毎日の保湿を心がけることがとても重要です。入浴やシャワーの後は特にしっかりと保湿をしましょう。
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2.刺激を与えない
かゆみを逃すために熱いシャワーを浴びるなど行うと、逆効果となり症状の悪化やかゆみを強める可能性があります。入浴やシャワーは熱すぎない38~40℃が適温です。体を洗う際は洗浄力の強いせっけんやボディソープを避け、強くこすらないようにしましょう。
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3.とにかく掻かない
アトピー性皮膚炎は掻くと症状が悪化しています。爪を短く切り、とにかく掻かないようにしてください。かゆみが強い場合は、かゆみ止めのお薬の処方もございますので医師に相談してください。
Q子どものアトピー性皮膚炎は食事療法なども必要ですか?
アトピー性皮膚炎では、基本的に食事制限は必要ありません。過度な食事制限はお子さまにストレスを与える場合もあり、当院では推奨していません。
特定の食品を摂取した後にアトピーがひどくなる等、食物アレルギーがアトピーと関連している場合がございます。その場合は、医療機関で食物アレルギー検査をした上で、医師の指導のもとに食事制限を行う場合がございます。
Q通院はどれくらい必要ですか?
アトピー性皮膚炎は難治性であり、良くなったり悪くなったりを繰り返す疾患です。また、症状の個人差が大きく治療期間は様々です。症状が落ち着いた場合も定期的に通院が必要になります。。
当院ではアトピー性皮膚炎の症状の度合いにもよりますが1~2週間に1回通院していただきます。