小児の皮膚疾患
Pediatric Skin Disorders

小児皮膚科と言われる範疇には、乳児(1歳未満)や幼児(1歳以上6歳未満)にみられる皮膚症状を主とした疾患が多数存在します。小児の皮膚症状は治療経験のある皮膚科医によって適切に対応することが必要です。

アトピー性皮膚炎の最近の研究では乳幼児からの適切なスキンケアが将来の症状に影響を与えることがわかってきました。

当院は適切なスキンケアにこだわった治療を行っています。アトピー性皮膚炎のお子さまに限らず、乳幼児は皮膚が未熟でデリケートな状態です。そのため、広くスキンケアの大切さを啓蒙していくことが皮膚科医としての我々の使命だと考えています。

えいご皮フ科では、小児のアトピー性皮膚炎をはじめ、水いぼなど幅広く小児の皮膚疾患に対応しております。

小児に多い皮膚疾患について

クリックすると詳細が表示されます。

突発性発疹(exanthema subitum)

ヘルペスウイルス6.7型による発疹の出る病気です。

  • ・赤ちゃんにとって、生まれて初めての発熱である
  • ・熱が高いわりには元気である
  • ・熱が下がって、からだにブツブツが出来る

これらの特徴があれば、ほぼ突発性発疹と考えられます。
たいていはそれ以外のことは起こらずに治ることが多いです。

×

水ぼうそう(chickenpox)

水痘・帯状疱疹ウイルスによる病気です。
非常に感染力が強く、顔や体のあらゆるところに小さな水ぶくれができます。
特効薬がある数少ないウイルス感染症です。

まれに水疱がひどくなると生涯にわたって跡が残ることがあるので、早期の治療が必要です。

×

風疹(rubella)

発疹は3日ほどで消えて、熱も下がる病気で、一般に”三日はしか”と呼ばれています。

妊婦さんが感染すると胎児に重度の障害を引き起こす可能性があります。

×

手足口病(HFMD)

手のひらや足の裏、口の中に口内炎を生じる特徴的な病気です。

まれに熱や喉の痛みが伴うことがありますが、
ほとんどは発疹以外には無症状です。

×

りんご病(fifth disease)

パルボウイルスというウイルスによる病気です。伝染性紅斑が正しい病名です。
5歳から14歳ぐらいまでの年齢に多く見られます。

左右のほっぺたがりんごのように赤くなります。

腕や脚にレース模様のような発疹が出ますが、日光に当たっていると1ヶ月以上も長引くことがあります。

×

麻疹(measles)

はしかと言われる怖い病気です。感染力が非常に強く主に飛沫感染によって広がります。
ワクチンが普及したことで、国内での感染者数は減少しており感染のリスクは低いといえますが、
海外から持ち込まれる可能性もあります。

肺炎や脳炎を起こすこともあり、まれに中耳炎から聴力障害を起こすこともあります。

×

ウイルス性イボ/水いぼ(wart)

ウイルスによるイボは子供によく見られるイボで、液体窒素での凍結治療が一般的です。

水いぼはウイルス性のいぼでプールなどで感染します。
治療は放置して自然治癒を待つか、セッシ(ピンセットのようなもの)で
ひとつひとつ摘んで取るかとなります。

×

とびひ(impetigo)

正式名称を伝染性膿痂疹と言います。

あせも、怪我、虫刺され、アトピー性皮膚炎などで、
傷ついた状態の皮膚に細菌が感染することで起こります。

水ぶくれのような状態になり、それがどんどん、とび火するように広がっていきます。
肌の弱い小さな子供でよく見られます。
治療は抗生剤を飲むことと、悪化する原因となった皮膚症状を治すための塗り薬必要となります。

×

鷲口瘡(thrush)

口の中のカンジダ菌による病気。

数百年前から最もありふれた新生児の真菌症です。
口の中やのどの奥に灰白色のプラークのようなものが見られます。

ほとんどの場合は2週間ほどで自然に治りますが、それ以上続く場合は治療を行います。
多くの場合は、抗真菌剤の外用で治癒します。

×

カンジダオムツ皮膚炎(diaper candidiasis)

オムツの皮膚炎は乳児期に多い皮膚疾患のひとつで、
機械的な刺激、湿気、尿・便との長時間の接触などをきっかけに発症します。

最近は市販でもステロイドの塗り薬が簡単に買えますが、
間違った使い方でカンジダが増殖することもよくあります。

簡単な検査で診断が可能なので皮膚科受診をお薦めします。

×

白癬(tinea)

白癬菌と呼ばれる真菌(カビ)によって生じる感染症で、
代表的なものが足の指などにできる「水虫」と言われる症状です。

家族に水虫の方がいる場合に感染する可能性が高くなります。

×

血管性紫斑病(HSP)

紫斑(内出血)をはじめとした皮膚症状に、関節症状、腹部症状を3主徴とする小児によく見られる病気です。

はっきりした原因は不明なことが多いのですが、半分ほどの方では風邪症状のようなものが見られます。
一般的にはひどくなることなく治癒しますが、まれに腎炎などを起こすことがあります。

×

しらみ(lice)

シラミは、毛と毛が接触する場面でうつります。

特に、アタマジラミは頭をくっつけあう遊びや、みんなでお昼寝をするなどでうつるため、乳幼児や小学校低学年の児童の間で感染がよく見られます。プールや銭湯でもまれにうつる事があります。

不潔だからと寄生することはほぼありません。
かゆみは、アタマジラミが吸血する際に唾液を注入することで起きますが、
かゆみを訴えた時には大量発生している可能性があります。

【治療と対策】

卵が少ないうちに専用のクシで取り除き、シラミ用の駆除シャンプーを使用してください。共に薬局などで市販されています。
枕カバーやシーツなどを取替え、55℃以上のお湯に5分間以上浸けてから 洗濯してください。予防策としては、頭をくっつけない、体に触れるものを共用しないことですが、子供の場合は難しく感染拡大をおこしやすいです。
集団発生しないためには親や先生によるシラミの早期発見が必要です。

×

小児の皮膚疾患の
よくある質問FAQ

Q感染性の湿疹の場合、人との接触はどの程度の期間で避けるべきですか?

  • ◇ 突発性発疹

    発熱中は周囲の子どもにうつることがあるので注意が必要です。解熱後1日以上経過して、全身症状が良い場合はウイルスの排出が治まり、感染リスクはほとんどないでしょう。

  • ◇ 麻疹(はしか)

    感染期間は発疹のでる3~5日前から、解熱後3日までです。

  • ◇ 風疹(三日ばしか)

    感染期間は発疹のでる2~3日前から発疹が出た後の5日までです。

  • ◇ 水痘(水ぼうそう)

    発疹のでる1~2日前より発疹が出た後の4~5日までですが、すべての発疹がかさぶたになるまでは、感染力がありますので注意が必要です。

  • ◇ 手足口病

    最も感染力が強いのは急性期(症状がある間)ですが、完全に感染力がなくなるまで、治療後約3~4週間かかりますので注意が必要です。

  • ◇ りんご病

    顔がリンゴのように赤くなる1週間~10日前が最も感染力が高く、発疹が現れたときには感染力はなくなっています。

Q湿疹の跡が残るなど、後遺症が考えられるものもあるのでしょうか?

とびひや水ぼうそう等、湿疹や発疹の出る疾患は掻きむしってしまうことで症状がひどくなると、長期治療を行う必要や、跡が残る場合があります。症状や発疹がでた時点で、早めに受診をすることが大事です。

Q子どもに湿疹が出ている場合、皮膚科と小児科のどちらを受診したらよいでしょうか?

皮膚科と小児科のどちらを受診しても問題ありません。
小児科は総合的な判断をしますので、皮膚症状以外にも症状がある場合や、かかりつけの病院やクリニックがある場合は、小児科を受診されるとよいでしょう。

Q湿疹などの症状が出ている時に気を付けることはありますか?

搔きむしったり触らないようにガーゼなどで保護するようにしてください。症状が出た時点で早めに病院やクリニックを受診してください。