えいご皮フ科

皮膚潰瘍

どんな病気?

皮膚潰瘍とは、皮膚が様々な原因で傷害され、それが進行することによって生じる組織の欠損です。
皮膚の表皮レベルまでの浅い欠損を「びらん」、それより深部まで及んだものを「潰瘍」と言います。
本来は人が持っている自然治癒力によって、潰瘍は治っていくことが多いのですが、糖尿病、動脈硬化症、膠原病などの全身の病気が背景に存在する場合は、治りにくい「難治性皮膚潰瘍」となる場合があります。

原因
「難治性皮膚潰瘍」は様々な原因がありますが、
1)ヤケドなど外傷によるもの
2)血液やリンパ液の流れが悪いために生じたもの
3)持続的な外的刺激により生じたもの
4)糖尿病、膠原病など内科疾患によるもの
5)皮膚がんによるもの
6)過去の治療に用いた放射線障害によるもの
7)低栄養状態
などがあります。
治療
【軟膏治療】
皮膚潰瘍の治療に使われる軟膏は、抗菌作用のあるもの、皮膚の盛り上がりを促すもの、壊死組織(死んでしまった組織)を取り除くものなど数種類あり、潰瘍の程度、状態を見ながら、適宜軟膏の種類を変えていきます。
【創傷被覆材】

皮膚潰瘍が治りやすい適度な湿潤環境を維持してくれる働きを持つ素材です。抗菌作用があるものや、皮膚に対して刺激の少ない素材でできているものもあり、処置が簡便で負担が軽減されます。しかし、全ての潰瘍に適応があるわけではなく、かえって増悪する場合もあるので、適応には注意が必要です。
【原因(基礎疾患)に対する治療】
糖尿病が潰瘍の治癒を妨げている場合は、厳格な血糖値のコントロールが必要で。糖尿病内科の先生と連携して治療を行います。
血液やリンパ液の流れが悪い場合は、その血行を改善することが必要です。循環器内科と連携を取り、検査、治療を進めます。
足のむくみが原因の場合は、弾性包帯や弾性ストッキングを用いて足がむくまないようなコントロールがに必要です。静脈瘤がむくみの原因となっている場合は、血管外科と連携して静脈瘤の治療を行います。
【手術療法、再生治療】
上記のような治療でも改善が期待できない場合は、多血小板血漿を用いた再生治療や皮膚移植術や皮弁移植術が必要な場合もあります。

以上のように、難治性の皮膚潰瘍には様々な種類、原因が考えられますので、なかなか改善しない場合は、きちんと原因を検索しそれに見合った治療を行うことが大切です。

文責:医療法人正英会  医師 村上貴章

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