皮膚潰瘍
Skin Ulcer
皮膚潰瘍とは、皮膚が様々な原因で侵害され、それが進行することによって生じる組織の欠損です。皮膚の表皮レベルまでの浅い欠損を「びらん」それより深部まで及んだものを「潰瘍」と言います。本来は人が持つ自然治癒力によって治っていくことが多いのですが、日本人のおよそ0.1%がかかると言われています。治りにくい「難治性皮膚潰瘍」となる場合があります。
- やけどなどの外傷
- 血液やリンパ液の流れが悪い
- 持続的な外部刺激
- 糖尿病や膠原病などの内科疾患
- 皮膚がん
- 過去の治療に用いた放射線障害
- 低栄養状態
皮膚潰瘍の治療
軟膏治療
皮膚潰瘍の治療に使われる軟膏は、抗菌作用のあるもの、皮膚の盛り上がりを促すもの、壊死組織を取り除くものなど数種類あり、潰瘍の頻度や状態を見ながら適宜、軟膏の種類を変えていきます。
創傷被覆材
皮膚潰瘍が治りやすい適度な湿潤環境を維持してくれる働きを持つ素材です。抗菌作用があるものや皮膚に対して刺激の少ない素材でできているものもあり、処置が簡便で負担が軽減されています。しかし、すべての潰瘍に適応があるわけではなく、かえって増悪する場合もあるので、適応には注意が必要です。
基礎疾患に対する治療
<糖尿病が潰瘍の治癒を妨げている場合>
厳格な血糖値コントロールが必要です。糖尿病内科の先生と連携して治療を行います。
<血液やリンパ系の流れが悪い場合>
血行を改善することが必要です。循環器内科と連携を取り、検査・治療を進めます。足のむくみが原因となる場合は、弾性包帯や弾性ストッキングを用いて足がむくまないようなコントロールが必要です。静脈瘤がむくみの原因となっている場合は、血管外科と連携し、静脈瘤の治療をおこないます。
手術や再生治療について
上記のような治療でも改善が期待できない場合は、多血小板血漿を用いた再生治療や皮膚移植術や皮弁移植術が必要な場合もあります。難治性の皮膚潰瘍には様々な種類、原因が考えられます。なかなか改善しない場合は、適切な治療が行える専門医のご紹介をいたします。