ニキビ痕は「形」だけでは決まらない|小森院長が考えるサブシジョンの治療設計
2026/10/01
ニキビ痕の凹みは、見た目が似ていても、皮膚の内部では瘢痕(はんこん:ニキビの炎症後に残った傷あと組織)の位置や深さが異なることがあります。そのため、ニキビ痕の治療では、ローリング型やボクスカー型といった「凹みの形」だけではなく、皮膚のどの層に凹みの原因があるのかを見極めることが大切です。
また、サブシジョンも、単に皮膚の下へ針を入れれば同じ結果になる治療ではありません。瘢痕の位置や硬さ、深さを考えながら、使用する器具やアプローチする層を選び、必要に応じて手打ちCO₂アブレージョンやニードリングなどを組み合わせて治療を設計します。
この記事では、京都御池院の小森院長がニキビ痕をどのように診断し、サブシジョンを中心とした治療をどのように組み立てているのかを解説します。
京都御池院 院長 小森 崇矢
えいご皮フ科 京都御池院 院長。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医として、皮膚腫瘍・皮膚外科を専門に経験を重ねてきました。ニキビ痕治療では、診断から治療設計、施術まで一貫して担当しています。
Contents
ニキビ痕は「形」だけでなく皮膚の構造を見て考える
ニキビ痕は、同じように凹んで見えても、その原因まで同じとは限りません。
真皮の中に硬い瘢痕組織が形成され、皮膚が固定されている場合もあれば、より深い部分まで変化している場合もあります。
原因となっている場所が違えば、治療でアプローチすべき場所も変わります。そのため、「ローリング型」「ボクスカー型」といった見た目の分類だけではなく、凹みの内部がどのような構造になっているのかを考えることが重要です。
まずは、代表的なローリング型とボクスカー型の違いから見ていきましょう。
ローリング型とボクスカー型では凹みの構造が異なる
ニキビ痕の凹みにはいくつかの種類があります。ローリング型は、境界がなだらかで、皮膚全体が波打つように見える凹みが特徴です。
一方、ボクスカー型は、凹みの境界が比較的はっきりしており、四角く落ち込んだように見えます。こうした「形」の違いは、皮膚の内部でどのような変化が起きているのかを考えるためのひとつの手がかりになります。
【ローリング型とボクスカー型の構造イメージ】

「凹んでいるから同じ治療をする」と考えるのではなく、凹みの形だけでなく、その下にどのような瘢痕が存在しているのかを考えながら治療方法を選択することが重要です。
ボクスカー型では瘢痕の「深さ」も治療を考える手がかりになる
ボクスカー型のニキビ痕では、凹みの下に硬い瘢痕性の線維化を伴っていることがあります。
ボクスカー型の組織を調べた報告では、対象となった5病変すべてで線維化が確認されています。※1
また、別の報告では、ボクスカー型の平均深度は約1.33mmとされています。※2
ただし、これらは限られた症例を対象とした報告であり、すべてのボクスカー型が同じ構造・同じ深さという意味ではありません。
大切なのは、表面から見える形だけでは、実際の瘢痕がどの深さまで存在しているのかは分からないということです。
そのため、ボクスカー型の治療でも、瘢痕が存在すると考えられる層を意識して治療することが重要になります。
【参考文献】
※1 Chancheewa B, et al. Skin Appendage Disord. 2022;8(6):469-475.
※2 Bansal A, et al. Indian J Dermatol Venereol Leprol. 2026;92:14-21.
ボクスカー型でも瘢痕の深さは同じとは限らない
同じボクスカー型に見えるニキビ痕でも、瘢痕の位置や深さは一様ではありません。表面の形だけを見て「ボクスカー型だからこの施術」と決めるのではなく、どの層に治療が必要なのかを考えることが重要です。

サブシジョンは「針を入れれば同じ」ではない
サブシジョンは、ニキビ痕の凹みを皮膚の内側から固定している瘢痕を針などで剥離・切離し、凹みの固定を解除する治療です。
ただし、使用する器具によって、狙いやすい層や瘢痕へのアプローチの方法は異なります。
大切なのは「どの器具を使うか」だけではありません。
どの層に、どのような瘢痕があり、どこを解除する必要があるのかを考えたうえで、その目的に適した器具を選択することが重要です。
ファインニードルは狙った瘢痕へ細かくアプローチする
ファインニードルは、細い針先を狙った位置へ入れながら、瘢痕を細かく解除していくことができる器具です。
特に、凹みを固定している硬い瘢痕が真皮内に存在すると考えられる場合には、その部位へ直接針先をアプローチしながら、瘢痕を細かく剥離・切離していきます。
ファインニードルを用いたサブシジョン

ニキビ痕は、表面の形を見るだけでは瘢痕の位置や深さまでは分かりません。狙った深さへ針先を入れ、瘢痕へ直接アプローチしながら細かく操作できることが、ファインニードルを用いる特徴のひとつです。
京都御池院では、小森院長が真皮内の硬い瘢痕へ直接アプローチすることを重視し、ファインニードルを用いたサブシジョンを行っています。
鈍針カニューレは広い範囲を剥離しやすい
鈍針カニューレは先端が丸く、皮膚の下を比較的広い範囲にわたって剥離する際に用いられる器具です。
一方、小森院長が重視している真皮内の硬い瘢痕を狙って細かく解除する操作では、細い針先を目的とする位置へ入れやすいファインニードルを使用しています。
ファインニードルと鈍針カニューレは、それぞれ特徴の異なる器具であり、治療する瘢痕の位置や目的によって選択することが重要です。
ファインニードルと鈍針カニューレの特徴

どちらか一方がすべてのニキビ痕に優れているということではありません。大切なのは、瘢痕がどの層にあり、どのように解除したいのかに合わせて器具を選択することです。
京都御池院の小森院長 がファインニードルを重視する理由
小森院長は、ニキビ痕の表面の形だけではなく、凹みの原因となっている瘢痕そのものにアプローチすることを重視しています。
特にボクスカー型では、真皮内に硬い瘢痕が存在する可能性を考え、狙った位置へ直接アプローチしやすいファインニードルを用いて治療します。
重要なのは、「ファインニードルを使うこと」そのものではありません。
患者さんごとにニキビ痕の状態を確認し、どの層の、どの瘢痕を、どのように解除するのかを考えたうえで器具を選択することが、サブシジョンの治療設計では重要です。
サブシジョンだけでは治療が完結しないニキビ痕もある
サブシジョンは、ニキビ痕の凹みを固定している瘢痕を解除するための治療です。しかし、凹みの形や構造によっては、瘢痕による固定を解除するだけでは、凹み全体の輪郭を十分に整えられないことがあります。
特にボクスカー型では、サブシジョンによって凹みの底が持ち上がっても、周囲の「縁」や「角」が残ることがあります。
そこで京都御池院では、必要に応じて手打ちCO₂アブレージョンやニードリングを組み合わせ、それぞれ異なる部分へアプローチします。
サブシジョンで瘢痕による固定を解除する
サブシジョンは、ニキビ痕の凹みを皮膚の内側から固定している瘢痕を針で剥離・切離し、固定を解除する治療です。
ボクスカー型のニキビ痕でも、凹みの底部が瘢痕によって下方へ固定されている場合があります。
この瘢痕を解除することで、固定されていた凹みの底が持ち上がりやすくなります。

ただし、サブシジョンによって凹みの底部が持ち上がっても、ボクスカー型では周囲の角や縁が残ることがあります。
この段差に光が当たると影ができ、「ツノ」のように見えることで、凹みそのものが浅くなっていてもニキビ痕が目立つことがあります。
サブシジョンは、あくまで瘢痕による固定を解除する治療です。そこで、残った凹みの輪郭には別のアプローチを行います。
手打ちCO₂アブレージョンで、残った凹みの縁を一つひとつ整える
京都御池院では、サブシジョン後に残った凹みの角や縁に対して、必要に応じて手打ちCO₂アブレージョンを行います。
広い範囲へ一律にレーザーを照射するのではありません。
医師が一つひとつのニキビ痕を確認しながら、「どの縁を、どの程度削れば、周囲の皮膚となだらかにつながるのか」を判断し、CO₂レーザーを手打ちで照射して瘢痕の形を整えます。
そのため、同じボクスカー型でも、凹みの大きさや深さ、縁の高さに合わせて、一つひとつ異なる形にアプローチすることができます。

サブシジョンが皮膚の内側にある瘢痕の固定を解除するのに対して、アブレージョンは凹みの縁を整えるという異なる役割を担います。
一般的なCO₂フラクショナルレーザーとは、治療の目的が異なります
CO₂レーザーを使ったニキビ痕治療として広く知られているものに、CO₂フラクショナルレーザーがあります。一般的なCO₂フラクショナルレーザーは、皮膚に多数の微細な点状照射を行い、その創傷治癒反応によって皮膚全体の再構築を促すことを目的とした治療です。
一方、小森院長が行う手打ちCO₂アブレージョンでは、ニキビ痕全体へ均一にレーザーを照射することを目的としていません。
一つひとつのボクスカー型の凹みを確認し、凹みを目立たせている「縁」や「角」そのものを選択的に削り、周囲の皮膚との段差をなだらかにすることを目的としています。

同じCO₂レーザーを使用していても、照射方法、治療する部位、治療の目的が異なるため、得られる治療効果の方向性も異なります。
どちらが一律に優れているということではなく、目的の異なる治療です。
京都御池院では、サブシジョンで凹みの底を固定している瘢痕を解除し、必要に応じて手打ちCO₂アブレージョンで凹みを目立たせている縁や角を整えることで、異なる部分へそれぞれアプローチします。
ニードリングは創傷治癒反応を利用して皮膚の再構築を促す
ニードリングは、極細の針で皮膚に微細な孔をつくり、皮膚が本来持っている創傷治癒反応を利用する治療です。微細な損傷が修復される過程で、コラーゲン産生などを含む皮膚組織の再構築を促し、ニキビ痕による凹凸をなめらかな状態へ近づけます。
サブシジョンのように瘢痕を直接剥離・切離する治療や、手打ちCO₂アブレージョンのように凹みの縁を削る治療とは、異なる方法でニキビ痕へアプローチします。

ニキビ痕の構造に応じて必要な手技を組み合わせる
サブシジョン、手打ちCO₂アブレージョン、ニードリングは、それぞれ同じことを行う治療ではありません。
| ファインニードル・サブシジョン | 凹みを固定している瘢痕を解除する |
| 手打ちCO₂アブレージョン | 一つひとつの凹みの角や縁を削り、輪郭を整える |
| ニードリング | 創傷治癒反応を利用し、皮膚組織の再構築を促す |
重要なのは、3つの治療をすべての患者さんに同じように行うことではありません。
「固定を解除する必要があるのか」
「凹みの縁を整える必要があるのか」
「皮膚組織の再構築を促す必要があるのか」
を考え、それぞれの役割に応じて必要な手技を組み合わせます。
京都御池院 小森院長が考えるニキビ痕治療
小森院長が重視しているのは、施術名を先に決めるのではなく、最初にニキビ痕の状態を診断することです。同じローリング型やボクスカー型に見えても、凹みを形成している瘢痕の位置・深さ・範囲は同じとは限りません。
まずニキビ痕の状態を確認し、どこに治療が必要なのかを考えます。その診断をもとに、使用する器具、アプローチする深さ、組み合わせる治療を決めていきます。
ニキビ痕治療は「診断」から始まる
ニキビ痕の治療では、凹みをローリング型・ボクスカー型などに分類するだけではなく、その凹みがなぜ生じているのかを考えることが重要です。
同じように凹んで見えるニキビ痕でも、瘢痕の位置や深さ、固定の状態によって必要なアプローチは異なります。
そのため京都御池院では、「診断→治療設計→施術→仕上げ」という順番で治療を考えています。

「サブシジョンをする」「レーザーをする」と施術名を先に決めるのではなく、どこを治療する必要があるのかを先に考えることを大切にしています。
エビデンスを「使う側」だけでなく「作る側」の経験を治療設計に生かす
小森院長は、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医として、これまで皮膚腫瘍・皮膚外科を専門に診療・研究を行ってきました。
患者さんを診療するだけでなく、臨床データを集め、治療成績を解析し、医学的なエビデンスを形成する臨床研究にも携わってきました。また、「皮膚がん診療ガイドライン第4版」の作成にも参画しています。
ガイドラインは、これまでに行われた研究を検討し、それぞれの治療にどのような医学的根拠があるのかを評価しながら作られます。
こうした経験から、小森院長はニキビ痕治療でも、
「流行している治療だから行う」
「その機械があるから使用する」
という考え方ではなく、
「この凹みはなぜ生じているのか」
「どの層の、どの組織を治療する必要があるのか」
「そのためには、どの手技を選択するのが合理的なのか」
を考えることを重視しています。
医学的根拠を読み解くだけでなく、エビデンスを作る側にも携わってきた経験を生かし、一人ひとりのニキビ痕の構造を診断したうえで治療を設計しています。
ニキビ痕を一つひとつ診断し、必要な治療を組み立てる
ニキビ痕は、同じボクスカー型やローリング型に見えても、凹みを作っている瘢痕の位置や深さ、硬さは一人ひとり異なります。
だからこそ小森院長は、施術名を先に決めるのではなく、まず一つひとつのニキビ痕の構造を診断することを大切にしています。凹みを固定している瘢痕には、ファインニードルによるサブシジョン。
サブシジョン後に残った凹みの縁や角には、一つひとつの瘢痕の形を確認しながら行う手打ちCO₂アブレージョン。
そして必要に応じて、皮膚組織の再構築を促すニードリング。
それぞれの治療には、異なる役割があります。
一つの機械、一つの治療ですべてのニキビ痕を治そうとするのではなく、医学的根拠と皮膚の構造をもとに、必要な治療を組み合わせる。それが、小森院長が考えるニキビ痕治療です。

ニキビ痕の治療についてお悩みの方はご相談ください
「何度レーザーを受けても凹みが残っている」
「自分のニキビ痕にはサブシジョンが必要なのか知りたい」
「ボクスカー型やローリング型など、自分がどのタイプなのか分からない」
という方も、まずはニキビ痕の状態を確認することから始めます。
京都御池院では、ニキビ痕の形だけではなく、瘢痕の位置や深さ、固定の状態まで考えたうえで、サブシジョン、手打ちCO₂アブレージョン、ニードリングなどから必要な治療を組み立てています。
「どの施術を受けるか」ではなく、「自分のニキビ痕には何が必要なのか」を知りたい方は、一度ご相談ください。
サブシジョンの治療内容、料金、施術の流れについては、施術ページでも詳しく紹介しています。
